942 名前: 職人見習い ◆fVKI4ilHCQ [sage] 投稿日: 2006/11/24(金) 02:43:54

姜維の最期 第伍話 一世紀の将(※編注 第六話)

劉備が建国し諸葛亮が護った蜀姦王朝は時代が下るにつれて荊州名士による私物化が進んでいったが、
その中にあって滅亡のその時まで劉備子飼いの武侠の風を以って鳴り続けた一人の将がいた。
姓は廖、名は化。はるか黄巾の乱からその名を歴史に残す蜀の右車騎将軍である。
一説を信用するならこの時点で百歳を越えている伝説的な将も、寝台の上で死なんとしていた。

廖化「ゴホッ、ゴホッ…。」
従者「どうなさいました?将軍。」
廖化「も、もはや起き上がれぬ。わしも遂に終いかもしれんな…。」
従者「何をおっしゃいますか、将軍。巷で噂しておりますよ、将軍は不死身だって。」
廖化「バカを言うでない。(苦笑)…わしとて人間じゃ、死は免れぬ。」
従者「……………。」

(ワァァ、ワァァ…)

廖化「む?何事じゃ?」
従者「ど、どうやら魏兵が叛乱を起こしたようで御座る!」
廖化「なんと!大将軍や伯恭は無事か!?」
従者「そこまでは…」
廖化「こうしてはおれん!…早くわしの鎧を用…ゴホッ、ゴホッ」

廖化「ふ、昔から体だけは頑強だと思っておったのじゃがのぅ。」
----「先帝陛下、申し訳御座らぬ。 丞相、至らぬ愚老を許してくだされ。 関公、無念で御座る…。」
----「それに大将軍、伯恭。助けに行けずにどれほど悔しいか…もはや竿も立たぬ。」
----「…せめて、蜀臣として恥ずかしくない死に方をしてみせようぞ…ふんっ!!!!!」

そう言うが早いか、廖化は剣を己の菊門に突き刺し、果てた。
なお、廖化の死は程無く伝えられたが、報を聞いても当初は誰も信じようとしなかったという。
それほど彼の長寿と健康は広まっていたのであろう。